こういったことよく聞きませんか? 相続に関するあれこれです。
・うちは、今住んでいる家以外に相続させるような財産もないしな〜。
・妹は既に嫁いでいるから、遺産は全部私のものと思っていたのに・・・。
・父親が元気だった頃はあんなに仲の良かった兄弟が、なんであんなにも憎しみ合っているん
だろうね?
・兄は、生前親父のことを全然面倒見てなかったから、遺産をもらう権利はないよな〜。
・僕が、家業を継いで今まで頑張ってきたんだから、当然この家業の分の財産も全部僕の
もんだよな。
・2世帯住宅を親子共有名義で建てたがために、不動産の相続でこんなに大変な目
にあうとは・・・。
民法の規定でいくと、皆さんが思っている通りとは違う相続のケースがあります。
いざ相続人となり、銀行口座や車の名義変更などは手続きができても不動産だけは亡くなった方
の名義のままで、お困りではありませんか。
また、相続でのもめ事を避けるため、ご自分の意思をしっかりと遺言書で残したいと考えては
いるものの、中々進まないといったことで困ってはいませんか。
相続や遺言に関しては、手続きだけでなく費用についても知っているようで知らないことが
多々あります。
本当に困ってしまう前に、準備を。
A.基礎控除額3,000万円+600万円/相続人1人につきを超える場合に超えた分に相続税がかかります。また、相続人が配偶者の場合、配偶者控除などもあります。
(平成27年1月1日現在)
A.プラス財産よりもマイナス財産の方が多い場合には、相続放棄の手続きを取り、相続しない方法があります。また、相続する財産内で支払う方法として、限定承認という方法もあります。
A.特に期限は定められていませんが、名義変更せずにそのままにしておいた結果、相続人が代替わりし、遺産分割協議がスムーズに進まなかったケースは数え切れないほどあります。
中には、裁判にまでなってしまったケースもあります。
A.相続人の中に認知症の方がいる場合には、家庭裁判所に本人のために成年後見人や保佐人、補助人の選任を行い、選任された成年後見人や保佐人、補助人が本人に代わって遺産分割協議をしたり、同意を与えたりしながら手続きを進めていくことになります。また、未成年者の方がいる場合、未成年者の親など親権者や後見人が法定代理人又はとなるか、家庭裁判所に未成年者の特別代理人の選任を
請求しなければなりません。
Q.不動産名義が祖父のままの土地は、どうすればいいの? |
A.父母の代の相続人とその代襲相続人を全て調べた上で、相続人全員での遺産分割協議を行います。相続人の中には、面識のない方もいる場合もありますので、慎重に手続きを進めていくようにしましょう。
Q.子どもがいない夫婦で自分が亡くなった場合、残された妻はそのまま今の持ち家に住めますよね? |
A.お子さんがいないご夫婦の場合、遺言書で相続人を配偶者だけに指定しておかないと、配偶者の他に被相続人の父母や兄弟が相続人になる場合があります。そうなると、遺産分割協議で、持ち家を処分しなくてはいけなくなることもあります。
A.海外では日本のような印鑑証明書はありませんから、遺産分割協議書に署名・押印後、現地の日本大使館で本人の署名であることを証明してもらいます。(サイン証明書の発行)
Q.相続人同士で遺産の分け方が分からないんですが? |
A.相続人全員での遺産分割協議で遺産の分け方を決める事が出来ます。また、民法で法定相続分についても定められています。
A.家庭裁判所で相続放棄の手続きを行うことで、初めから相続人ではなかったものとみなされますので、借金を相続せずにすみます。
A.現在の税率では、贈与税の方が相続税の税率よりもかなり高くなっています。しかし、生前贈与の際相続時精算課税制度が利用できる場合、この制度を利用すると贈与時に一定額が控除されますから、生前贈与のメリットが大きくなります。
A.遺言書で贈与する内容を指定し、遺贈という形で行うこともできます。その際、具体的に財産を特定する形でも抽象的な割合で示すこともできます。
A.遺言者は、いつでも遺言の方式に従って遺言の内容を変更することができます。この場合、前の遺言の内容を撤回したものとみなされます。
A.遺言書は、民法で定められている方式によらなければ無効となることがあります。公正証書遺言書は、公証人が遺言内容を直接筆記しますので、方式不備で無効となることは、まずないと言えます。
■相続放棄
現在の民法の規定では、相続放棄は被相続人が亡くなる前は認められていません。被相続人が亡くなる前に書面などで相続放棄をすることはできません。但し、遺留分の放棄については、家庭裁判所への手続きで許可を受けたときに限り、相続開始の前に放棄することができます。
■遺留分
遺留分とは、法定相続人に保障される最低限度の財産分をいいます。被相続人は、自分の財産(遺産)を自由に処分できますが、遺産を相続人の1人に全部相続させると遺言した場合、他の残された遺族(相続人)の生活の安定及び財産の公平な分配ができなくなってしまいます。そのために、一定の者には必ず相続財産の一部が保障されています。但し、相続人に遺留分が認められていますが、全ての相続人に遺留分が認められている訳ではありません。遺留分が認められるのは、
・被相続人の配偶者
・直系卑属(子、孫など)
・直系尊属(親、祖父母など)
※被相続人の兄弟姉妹には、遺留分はありません。
■代襲相続
被相続人の子、兄弟姉妹が、次のいずれかに該当するときは、その者の子(被相続人の孫、おい・めい)が相続人となります。
@相続の開始以前に死亡したとき。
A相続人の欠格事由に該当し、その相続権を失ったとき。
B廃除によって、その相続権を失ったとき。
C被相続人の子等が、被相続人と同時に死亡したとき
(同時死亡の推定を受けるときも含む)
例えば、被相続人の子Bが被相続人Aとともに事故で死亡し、同時死亡の推定を受けていており、Bに子Cがいる場合、Cは代襲相続によりAの相続人となることができます。また、被相続人の子等が相続放棄したときは、代襲相続は行われません。更に、再代襲相続という制度もあります。代襲者(被相続人の孫)が、代襲原因に該当するときは、代襲者の子(被相続人のひ孫)が相続人となります。(代襲相続は、被相続人の子⇒孫⇒曾孫…と行われます。)
※相続人が兄弟姉妹の場合、再代襲相続は行われません。
(代襲相続は、甥・姪までしか行われません。)
■相続欠格・相続人の廃除
相続欠格(欠格事由)・・・・違法行為に対する制裁として、法律上当然に相続人でなくなるものです。対象は、全ての推定相続人です。
相続人の廃除・・・・・・・・・・遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対し虐待をし、若しくは重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人に著しい非行があったとき、被相続人又はその遺言執行者が家庭裁判所に請求しなければなりません。
■寄与分
相続人の中には被相続人被相続人の事業を助け資産の増加に貢献した人、病気療養中に看護に献身的に努めた人など、特別の貢献をした人がいます。この貢献分を相続分に加えることをができ、これを寄与分といいます。寄与分が認められるのは、あくまで特別の貢献をしたと認められる場合に限られ、通常の扶養の範囲内では寄与分とはなりません。
寄与分が認められるのは、
@被相続人の事業に関する労務の提供又は財産の給付。
A被相続人の療養看護その他の方法により、被相続人の財産の維持又は増加につき特別に寄与た共同相続人。
※相続人でない者に寄与分は認められません。